武下詩菜【風と光と大地のうた】星を頼りに大海原へ

武下詩菜。22歳の彼女が描く風景とは?

前に一度、武下詩菜のライブを見た事がある。するりとタマゴ肌の彼女は眉間にシワを寄せて「キッ」と客席を見る。その姿から「私の歌を!きいてみて!」というエネルギーを感じた。

一年のときを経てみた彼女のライブは豊かさと安心感に満ちたものだった。

ゆったりとキーボードを弾きながら、客席をやわらかくつつんでゆく歌。彼女のリズムは聞くものの心拍数を下げ、心穏やかにさせる。

生の音楽を聴くことのよさを感じた演奏と歌だった。
彼女は歌い、弾く。それにあわせて椅子が軽くきしみ、「ギギッ」と小さな音を立てる。
その瞬間、僕は彼女を船長とする一艘の舟にのったような気になった。

真っ黒い海と空と。無数の星。
舟は軋み、ゆらぎを与える。しずかに進んでゆく。
望遠鏡を手にして、星の位置を確認しながら行き先を決める武下詩菜の歌に沿って、僕らは豊かでおだやかな旅に出た。

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武下詩菜のうたを聞いていると「大丈夫だよ」といわれてる気分になる。

暖かくふくよかな歌声は、フェイクをあまりつかわない。歌の上手な人が陥る「ドリカム病」の悪影響をあまり感じない。歌われるべきメロディを、まっすぐ届ける。
悩み苦しむ人たちに、できたばかりの野菜のような、果物のような「実り」を届けてくれる。
人の手が作り上げる「飾りのない豊かな実り」を。

「大丈夫だよ」と、武下詩菜は直接は言わない。でも絶対に大丈夫だと信じてる。その信念が伝わる。
「だって、陽はあたたかいだろう?」そういって彼女は微笑む。

黄金の小麦畑に立つ彼女が見える。
小さな煙突からたちのぼる湯気。
ぼくたちの帰りを待つようにたつ武下詩菜の姿が見える。

この一年で彼女が得たものに、まだ自分自身は気づいていないかもしれないけど。
彼女は豊かで、おだやかだ。眉間のシワはまだまだあるけど(笑)

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歌声はやわらかくつよく。会場の隅々にまで実りを運ぶ。

「大きな世界の大きな幸せが、小さなあなたの小さな喜びからできている」

武下詩菜の歌を聞いていて思うのはそれだ。
目の前の人に歌いかける。
目の前の人の心を解きほぐす。
そのことが重なって繋がって、いつか大きなやすらぎとなる。
彼女はそのことに絶対の自信を持っているはず。気づいてないかもだけど。

22歳の女性ができること。
その小ささを認めたうえで、それでも1+1が2になることを信じてる。

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泣いてほしいんじゃない。わかってほしいんだ。

武下詩菜のやさしさは、草原に吹く風だったり、朝露の輝きだったりするんだけど、目の前のあなたに「世界はいいもんだよ」と気づいてほしいと願ってる。その願いを歌うとき、彼女は少し、もどかしさを感じるのかもしれない。絶対大丈夫だと信じてる世界と、目の前の出来事とのバランス。世界は良くなると信じてはいても、目の前のあなたが悲しんでるとき、どうすればいいんだろう、と。

そこで彼女のとった策は簡単だ。
笑って、目を見て、伝える。
「君が思うよりもずっと、世界はすてきなんだよ」と。

ピアノを弾く。
歌を歌う。

誰にでもできることかもしれない、ただ、ステージで歌を歌い、弾くとき、彼女の後ろには誰もいない。彼女の前には世界がある。
その重みと喜びを、今日も感じて武下詩菜はうたう。

「大丈夫だよ」と。

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